卓上遊戯創造館別館

ボードゲームの紹介等

ボードゲーム売り場が危ない!!

stelmos2006-01-31


 本日はボードゲームの流通についてふれて見たいと思う。現在、ボードゲームは主に、


1.メビウスやバネスト等、輸入ドイツ系ボードゲームを取り扱う専門店。
2.キディランドや東急ハンズ等のホビーショッップ。
3.トイザラスや百貨店の玩具売り場、街のおもちゃやさん。

 
 等で一般的に販売されている。今回話題にするのは、1.メビウス等のマニア向けボードゲーム専門店以外の事例について考えてみたいと思う。


 まず、結論から言うとせっかく少しずつ拡大されつつあったボードゲーム売り場が最近また縮小傾向にあるという事である。ここ数年の大手メーカー(カプコン・エポック・グラパック・ビバリー等)のボードゲーム進出を機に少し売り場面積が大きくなったと感じていたが、これらのメーカーが少しボードゲームに対する力の入れ具合が減少するのにあわせボードゲーム売り場の面積も減少し始めた。


具体的な事例として私がよく売り場を観察している「東急ハンズ心斎橋店」のボードゲームコーナーについて報告してみたい。
 東急ハンズ心斎橋店は大阪ミナミの繁華街・心斎橋と長堀橋の中間に位置する大型ホビーストア(B1F〜8Fの9フロアから構成)である。ボードゲーム売り場はB1Fにあり、主に国産のボードゲームを中心(若干メビウスの輸入ゲーム等)に割りと幅広く取り扱っている。このボードゲーム売り場が最近少し縮小傾向に向かいはじめている。まず、いままでボードゲームが置かれていた棚がひとつ、バンダイの「スペースワープ」の棚に入れ替わってしまっていた。それだけでは無い。明らかにこれから更に縮小を予感させる徴候がこの売り場からは感じられるのである。
具体的には、メビウスルート等の輸入ゲームの商品回転率が非常に悪い(6ニムトの缶入り記念バージョンがまだ、トランプ売り場に山積みで残っている。マニアの間では引く手あまたのギガミック社の「バティーク」が2個残っているが何ヶ月も売れていない…等)。また、グラパックジャパンが展開している「エアロノートシリーズ」も当初は、ショーケース等にディスプレイされていたが、いまや瀕死の重傷状態。(なんと、ゲートボールやオーバルトリック等が1980円で投売り処分状態である)さらにビバリーボードゲームも今では生き残っているのが、ブロックスシリーズだけ…等、このままでは、更にボードゲーム売り場が縮小されて、「人生ゲーム」や「ウノ」「ジェンガ」等の定番だけの売り場になりそうな運命を予感させるのである。


このような状況になった背景には、メーカーが消費者の心を捉えるボードゲームを発売できていないという側面もあるだろうが、売り場自身の責任も大きいと思う。例えば、無造作にメビウス便のゲームを棚に並べていても、普通の人はドイツ語で書かれたパッケージを見てもどんなゲームか想像もつかないのではないだろうか…。せめてこれらのコーナーには取り扱っているゲームの簡単な紹介を書いたPOPでも設置すべきであろう。私は、友達同士でボードゲームを買いにきたお客さんが、「何か面白いゲームはないかな…」などとコーナーを一通り見回した後、なぜか「人生ゲーム」や「黒ヒゲ危機一髪」等を手に取っているのを数多く見かけている。私が店員なら、この様なお客をみつけたら「ブロックスというシンプルなルールで面白いゲームがありますよ」とか「カップルで遊ぶならガイスターはいかがですか。可愛いお化けのコマのゲームですが、心理的な読みあいが面白いですよ」とか「ミッドナイトパーティは子どもさんに大人気ですよ…」等と色々とアドバイスしてあげたいのですが、東急ハンズの売り場のボードゲームコーナーでは店員はいっさいこの様な接客をしていない。ある意味、安売り量販店と同じでただ商品を陳列しているだけである。
量販店と違って定価で販売しているのだから、もう少し工夫をしてくれたらいいのに… せめて外国産のゲームは、簡単な日本語の紹介チラシぐらいお客さんが何時でも見られる所に常備しておいてくれよと言いたくなります。


 上記の事例からも言える事は、ボードゲームを広めるためには、流通の側面にも大きな課題が山積しているということである。もちろん、一般の玩具店でも上手にボードゲームを取り扱っているお店も中には存在するのですが…。次回はボードゲームを上手く販売している玩具店の事例を紹介してみようと思う。