卓上遊戯創造館別館

ボードゲームの紹介等

メーカーはもう少し長期的な視点で取り組むべき

stelmos2006-01-29

 ボードゲームは日本ではまだまだマイナーな娯楽である。もうすこし知名度を高め、一般大衆に愛される娯楽になるためにはどうしたら良いのだろうか。開発サイド、流通サイド、ファンサイド… 解決すべき問題点は山積しているので、どの視点からでも考えることはできるのだが、今回は開発(メーカー)サイドの問題点について考察してみたいと思う。


まずここ最近、特に感じているのは、長期的な視点でボードゲームに取り組んでくれる日本のメーカーが非常に少ない事である。特に大手メーカーほどその傾向が強く感じられるのが残念。特にここ数年のカプコンエポック社などの取り組み方には疑問を感じさせられる。例えばカプコン社の例を挙げると、数年前、ブレインスポーツシリーズとして「カタン」と「指輪物語」のリリースした際、あれだけアドバルーンをあげておきながら、以降継続的にブレインスポーツブランドのボードゲームを発表していない。それどころか、サポートのサイトも更新せずの状態であり、いまではすっかり音なしの様相を呈している。私たちファンサイドからしてみれば、今となればガッカリどころか余計な事をしてくれたとさえ思ってしまう。(カプコンが日本でのカタンの販売権を握ってしまったおかげで、カタンのドイツ版はもちろん、様々な拡張セット等も非常に入手しにくくなってしまった…)
 他のメーカーの取り組み方も似たりよったりで、はじめは意気込んで参入するものの、短期間で結果(売上・利益)がでないと、すぐにフェードアウトしてしまうケースが多い。
石の上にも3年という諺にもあるように、もう少し腰をすえてじっくりとボードゲームに取り組んでくれれば有り難かったのだが、どうにかならなかったのだろうか…

 
 話は変わるが、先日ボードゲームを作っているあるメーカーの開発者と意見交換をする場を持たせていただいた。その時の話では、決して開発者のボードゲームに対する情熱が低かった訳ではなかった。むしろ情熱は我々以上で、なんとかヒットするものを作ろうと懸命に努力しているように感じられた。にもかかわらず、その後そのメーカーから新作が一つも発売されていないのはなぜだろうか。


私の推察では、おそらく経営陣の了承が得られなかったのが一番の原因だと思う。普通、経営陣にとっては、ボードゲームの開発・販売という行為は、企業の売上と利益を上げる手段に過ぎません。先が見えない経営効率の悪い事業からは撤退という事も経営者の判断としては正しい事かもしれません。実際のところ、私たちファンにしてみれば残念なのですが、しかたがないと思える部分もあります。お金を儲けるという目的を達成するためには、もっと効率の良いアイテムも多数存在するだろうから…


かといってメーカーに新作を発表してもらうために、ファンに対してクソゲーでも何でも購入すべしというのもおかしな話。はっきり言ってジレンマ状態、難しい問題である。
最後にボードゲームを開発している社長さんに一言


 ボードゲームに過度の収益性を求めてはいけません。あせらず騒がず細く長く取り組んで下さい。良質の製品を継続的にリリースしてくれれば、いつか「オセロ」の時の様なヒット作も生まれるかもしれません。」