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ミツバチからの警鐘


 今、世界的にミツバチの数が減少している。ある研究者の発表によると、欧州では2006年夏から2007年春にかけ30%が、08年も同様に30%が死滅した。中にはドイツの様に50%以上も減少した地域もあると言う。日本においてもミツバチの減少は深刻な問題である。イチゴやスイカ等の果物・野菜の受粉に必要なミツバチが不足しているため、国内の野菜生産量に大きな影響を与えかねない。このまま手をこまねいていると、深刻な食糧問題を引き起こす可能性すらあるという。


 ミツバチが急速に減っている理由については、様々な要因が複合的にからみ合って起こったと考えられる。巣の中に生息するダニ、農薬、地球温暖化等の影響、最近ではウイルス感染等も原因とみられている。また大規模単一栽培農場での集中受粉活動によって栄養不足に陥り、ミツバチ自体の免疫力が低下しているとの指摘もある。


 もともとミツバチは自然の生物である。自然界では多様な生物が、有機的に絡み合いながら、バランスと調和を保って暮らしている。しかし人間はミツバチを「生物」としてではなく、農産物の生産に必要な「資材」として扱ってきた。「受粉作業」「密採集作業」のための道具として酷使してきたのである。これでは、いくら働きモノのミツバチと言っても、作業の過剰ノルマとストレスによって免疫力が低下し、過労死してしまうのも無理はない。


 この様な状況を鑑みると、ある意味、ミツバチの世界的減少は、経済効率を優先する金融資本主義社会に対する自然界からの「警鐘」と受け止める事もできるのではないだろうか…。自然との調和を無視し、金の亡者になり果てた人間に対して、ミツバチは死をもって抗議しているのではないだろうか…。


人もまた自然界の生物である。この事を私達は忘れてはいけない。


ハチはなぜ大量死したのか

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