卓上遊戯創造館別館

ボードゲームの紹介等

フラット化したコミュニケーションの先にあるもの


ここ十年の間に、コミュニケーションツールは目覚ましい発達をとげた。今や携帯電話は一人一台の時代になっているし、インターネットの発達とブロードバンド化の波により、今では世界中のあらゆる人と低コストでコミュニケーションがとれる時代だ。


それにより、マイナーな趣味をもっている人同士でも、ネット等を通じて気軽にコミュニティを形成できる事になったのは良い事だと思う。私の趣味の一つであるボードゲームも、ネットコミュニティのおかげで、気軽に情報交換が可能になったり、近くに対戦相手がいなくても、ネット対戦で気軽に遊ぶ事ができる様になった。


しかし、良い事ばかりでは無い。気軽にコミュニケーションできる分、気軽にやめる事もできてしまう。例えば、ネットの将棋対戦を例にとって考えてみると、形成が不利になったと見るや、無言でゲームを止めてしまう人も多い。こんな事は、フェイストゥフェイスではありえない事である。はっきり言って対戦相手に失礼きわまりない。しかし、ネットの世界では暗黙の了解としてまかり通っている。


また、携帯電話の中には、たくさんのメル友のアドレスが記録されている人も多いだろう。電車の中で携帯メールを打っている人もいまや当たり前の光景。遠方の友達とも、気軽にメールでコミュニケーションをとる事ができるのは便利な事である。


しかし、メル友が沢山いるからと言って、自分は人間関係が広い等と勘違いするのは早計である。確かに「知り合い」と言う程度の人は多くなったかもしれない。しかし、自分が本当に困った時に相談できる様な深い「友人」は昔よりも少なくなっているのではないだろうか。


私自身、人間関係の希薄化をひしひしと感じている。メールやSNSでお互いの近況報告をしても、実際に会って話をするという機会はむしろ減ってきている。この事は非常に危険な事だ。面と向かって話をしてこそ、深い話もできるし、相手の悩みや感情の機微も感じる事ができる。メールではやはり限界がある。コミュニケーションは、量よりも質が大切だと思う。この質を高める努力もしておかないと、いざと言う時、ものすごく孤独を感じる事になるに違いない。


現代人はその事に気がついているのだろうか…