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ボードゲームの紹介等

ドイツゲーム賞受賞作品でさえ1万個程度

stelmos2006-12-26



 世界のボードゲームを広める会「ゆうもあ」の情報誌「シュピール」の7号に、「ハンス・イム・グリュック」の社長・ベルント・ブルンホファー氏のインタビュー記事が掲載されている。「一般とフリーク、両立への挑戦者」というタイトルの記事の中には、同氏の仕事振りやゲーム作りに取り組む姿勢、また最近のボードゲームの潮流、同社のフリークゲームへのこだわり等が書かれており、私にとってはとても興味深い内容であった。


 その中でも特に驚いたのが、フリークゲームの売り上げについての部分。ドイツゲーム賞を受賞した「アメン・ラー」が1万個以下、「サンクトペテルスブルグ」が1.5〜2万個しか売れていないという事実である。ちなみにファミリー向けの「カルカソンヌ」は拡張等を入れると300万個程売れているという。(ただしカルカソンヌに関しては例外だと同氏も言っているが・・・)


 私の勝手な想像では、フリーク向けゲームでもドイツゲーム賞を受賞する様な作品は、もっと売れているものだと思っていた。それが、本場ドイツで名作と言われている作品ですら、売り上げの実態は以外と小さいのである。


 これでは、ビジネスとして利益を追求するという面から考えると、フリークゲームの製作は、まったく妙味がない。それでも、同社の基本がフリーク向けゲームだと言うのは、社長自身がもともとフリークで、フリークのグループの中で意識されるメーカーでありたいと思っているからだという。


 また、同氏はフリークゲームに関して、「ゲームがフリークに行き渡るまでが勝負。フリークから境界線を越えて一般の人に行き渡る事はまずない。だからフリークに行き渡ったらもう、一般の人に宣伝するのはあまり意味がないし、大金をかけないといけないから不可能・・・」と述べている。このことについては、これからボードゲーム事業に参入しようとするメーカーは、深く肝に銘じておく必要があるだろう。


最後に、私はこのインタビュー記事を読んで、


 「単に金儲けの手段として、ボードゲームを製作するのなら止めた方がよい」
 「もっと効率的な金儲けの手段はいくらでもある」
 「本気でボードゲームを愛しているのなら別だが・・・」


そんなブルンホファー氏のメッセージが聞こえてきそうになった。


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