蘇るラジコンカーの思い出
ある家電量販店の玩具売り場で懐かしいモノを見つけた。私が中学生時代に夢中になったラジコンカー「マイティフロッグ」が完全組み立て品のエキスパートビルドセットとなって蘇ったのである。
私が少年の頃は、まだまだプラモデルも盛んな時代だった。私も例外ではなく、プラモで日本帝国海軍やドイツ機甲師団を再現したりして喜んでいた。そしてガンダムプラモの大ブーム。当時はあまりの人気で、2〜3ヶ月待ちは当たり前だった。また悪質なお店では、500円の「リックドム」を買うのに、1000円以上するスポーツカー等のプラモを一緒に買わなければならないという抱き合わせ販売も横行していた。私も当時、ガンプラを手に入れるため必死にお店を探し回った。
そんな時代、少年の高嶺の花だったのが、組み立て式ラジコンカーである。何しろおもちゃのラジコンカーとはスピードや迫力が違う本格派だ。休日の大阪城公園等は、これら本格派ラジコンカーのエキシビションみたいな様子で、私もよく見に行っていたものである。そして私も中学になって、ようやく手にいれた本格派ラジコンカーが「マイティフロッグ」だった。オフロードカーなので、走る場所を選ばない。公園や駐車場等でよく走らせたものだった。また少しでも速くしようと、モーターやパーツをチューンナップした記憶もある。とにかくラジコンカーは少年時代の楽しかった思い出として記憶に残っている。
そんな愛機「マイティフロッグ」が二十数年の歳月を経て復活したのである。ただし、少し複雑な気持ちもある。それは完全組み立て済みのセットで発売された事である。これではいくら本格派ラジコンカーといえども、小さい子供が遊ぶおもちゃのラジコンカーとなんら変わりがない。本格派ラジコンの楽しみは、走らせるだけでない。組み立てる事こそ真の楽しみの部分なのである。何日もかけて少しずつ組み立てる過程に大きな喜びがあるのだ。
しかし、現在となってはしかたがない事かもしれない。模型というジャンルそのものがメジャーな趣味から、マニアだけが楽しむマイナーな趣味に変わり果ててしまっている。当時は自宅の近所にも模型屋が2、3件ほどあったが、もうすべて潰れてしまっている。今の子供たちは、プラモデルを作った経験のない子供も多いに違いない。そんな子供たちに、いきなり難易度の高いラジコンキットを作れと言っても無理がある。だからこそ模型屋のタミヤも現在のニーズにマッチした完全組み立て済みの「エキスパートビルドシリーズ」を販売しているのだろう。
タミヤ 1/10 XBシリーズ No.56 XB マイティフロッグ 完成品
- 出版社/メーカー: タミヤ(TAMIYA)
- 発売日: 2006/07/19
- メディア: おもちゃ&ホビー
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